概要

  • 著者:田口壮
  • 出版社:マイナビ出版
  • 出版年月:2013/2
  • 読了日:2024/2/27
日米の野球を経験した田口壮さんが、2012年の引退直後に書いた本。さまざまな角度から日米野球を比較しつつ、選手と解説者両方の視点から当時の野球問題への解決策を提示している。

目次

第1章 第3回WBC開幕。世界は野球であふれている。
第2章 日本人選手のメジャー挑戦は人材流出なのか?
第3章 日米比較。野球とベースボールとスターバックス。
第4章 セイバーメトリックスが苦手です。
第5章 統一球問題は、外野のフェンスを下げて解決!

感想

田口壮さんは現役時代から応援していたので、ブックパスで見つけて遅ればせながら読み始めた。
2013年の本なので、さすがに古いところも多い。例えば、日本はパワーではアメリカに圧倒的に負けていて「細かい野球」「基礎」でカバーしているという部分は、ここ数年でピッチャーの球速も一気に伸びて、長打を打てるバッターも急増したからもう当てはまらない(10年強でそんなに変化したことに驚くけれど)。統一球問題も「そういえばそんな問題もあったなあ」というくらい記憶のかなただった。

それでも、セイバーメトリックス(を経営陣が選手の評価に使うこと)への苦言やクライマックスシリーズを地区対決にするという提言には今も読みごたえがあった。数字で表せないところで貢献する選手もいるんだという言葉から著者自身の経験が伝わってきたし、「日本球界をなんとかして盛り上げたい」という言葉も頼もしかった。

何より、1冊を通して筆致が明るい。この人、本当に野球が好きなんだなあとうれしくなる。もともとそういう人でもあったんだろうけれど、アメリカでの経験が大きかったようで。
「野球をするって『プレー』って言うやろ? 野球は、楽しい遊びの延長線上にある」
チームメイトたちがそう話した時の衝撃が忘れられません。
アメリカでは日本ほど道具を大事にしなかったり、不真面目そうな選手がいたりして、著者は当初苛つくこともあったらしい。でも、ほかの選手と接するうちに新たなものの見方を身に付けていく。
「楽しませることを楽しむ」なんていう考え方を、生まれて初めて知りました。
読んでいても、改めて野球って楽しいんだと実感できた。

今はオリックスでコーチを務めている田口さん。この考え方が、強いオリックスの源になっているのかもしれない。