概要
- 小さなプロ野球選手の履歴書
- 著者:ヤキュイク編集部・編
- 出版社:カンゼン
- 出版年月:2024年3月
- 読了日:2024年3月9日
目次
- CASE 1 東京ヤクルトスワローズ 石川雅規(167cm)「壁の越え方はひとつじゃない」
- CASE 2 千葉ロッテマリーンズ 美馬学(169cm)「体の小ささを言い訳にしない」
- CASE 3 横浜DeNAベイスターズ 宮﨑敏郎(172cm)「自分が決めたことを毎日続けて」
- CASE 4 東京ヤクルトスワローズ 小川泰弘(171cm)「この身長だからより一層頑張らないといけない」
- CASE 5 オリックス・バファローズ 宮城大弥(171cm)「自分に合った体の使い方を見つける」
- CASE 6 埼玉西武ライオンズ 平良海馬(173cm)「身長や体重に関係なく活躍できるのが野球の魅力」
- CASE 7 オリックス・バファローズ 森友哉(170cm)「体のサイズがハンデだと思ったことはない」
- CASE 8 高松商 浅野翔吾(171cm)「『体が小さくてもプロで活躍できる』夢を与えられる選手に」
- 専門家の視点 東京農業大学 勝亦陽一准教授 「野球好き」になれば、体のサイズに関係なく頑張れる
感想
まず、視点の面白さが気になって読み始めた。たしかに、体が小さくてもプロ野球で活躍し続けている選手はいる。なにが成功の要因だったんだろう。選手ごとの共通点や違いもあるのかな。
読んでいて目に付いたのは共通点の多さ(共通点がフォーカスされるように作られてもいたんだろうけれど)。
- 少年野球が楽しかった、野球が好きだった
- 身長に関係なくのびのびとプレーできた(「小さいからゴロを打て」などと縛られなかった)
- 今の身長でよかったと感じている
- 決めたことをコツコツと続けた
- どうすれば小さい体で通用するか、自分で考えた
たとえば、石川投手はこう言う。
壁を乗り越えられないんだったら穴をあければいい、地面に穴を掘ってでも通り抜けてやろう美馬投手も似た言葉を残している。
CASE 1 より
身長だけがネックになってプロに行けないって最悪ですよね。だからもう一回やれと言われてもできないような努力と練習はやっていましたね。一方、「子供の頃から重たいバットを全力で振り続けてきたこと」が大きいと話す宮﨑選手の場合、少年野球時代の監督・壁總勲さんの指導方針も影響したようだ。
CASE 2 より
本格的な野球経験のなかった壁總さんは、小学生にして独特なそのフォームを直さなかった。直せなかったと言ってもいいのかもしれない。(……)あの時、壁總さんがスイングを矯正していたら、その後の首位打者は誕生していなかったかもしれない。平良投手や森選手は、子供の頃はマイペースタイプ。平良選手の場合は監督も「仕方ないな」という雰囲気で、森選手は監督に厳しく叱られたこともあったという。今プロで活躍しているのだから、それぞれその対応が正解だったんだろう。正解はひとつじゃないという当たり前のことに気づかされる。
CASE 3 より
小中学生でも高校生でも、身長に関係のない自分の武器をまずは見つけてもらいたいですね。指導者の方も、子どもの身長が低いからという理由でその選手の可能性を限定するのではなく、もっと長所や武器になる部分に目を向けてほしいと思います。身長や体重に関係なく、子供の可能性は無限大。相性のいい大人と出会って長所を伸ばすことができれば、どんな子供も夢をかなえられるのかもしれない。
CASE 7 より
そして、全員が「今の身長でよかった」と言っていたのが本当にすてきだった。一見欠点に思える部分もひっくるめて肯定する。私もそうありたいなあ。